夢判断34「水の化物」p2

  
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水の化物



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anemone様
41歳 女性 既婚

タイトル/ 「水の化物」

また、わたし達日本人には、小学生がタイムカプセルと読んでいる箱をつくることがあります。
その箱の中には、未来の自分に対する夢や希望を抱いて、「10年後の私は、どのような生活を送っていますか?」などという手紙を入れることさえあります。
そのように、シリアや日本だけではなく、箱には全ての人類に共通するある特定のイメージがあるように思われます。
夢の中の箱には、それだけ、「未来に託すべき大切なもの」が入っている場合が多く、わたし達のご先祖様は、箱にたくさんの夢や希望を詰めてきたと言えそうです。

しかしそれは、否定的な一面もあり、箱はその中身によっては、人々の争いの種ともなり、人々を混乱させるきっかけとなることもあったでしょうし、数年後その箱を開けたとき、期待とは裏腹に中身が腐敗し落胆することもあったでしょう。

今回の「水の化物の夢」は、その肯定的な側面と否定面の、両方のイメージを持っているように感じられますね。

また、ギリシア神話のパンドラの箱では、決して開けてはならないという箱を開けてしまうことによって、そこから疫病や悲嘆、欠乏、犯罪などの様々な災いが飛び出し、その時から、世界中の人々の苦しみがはじまります。

今回の、水の化物の夢と、ギリシア神話のパンドラの箱は、
「この箱の中身に関わると、取り返しの付かない大惨事になるぞ!」
という状況があり、その意味において、この2つはイメージがよく似てまいすね。

希望を持つことは、絶望を生むかも知れず、箱にはそれだけの覚悟が必要だ、ということかも知れません。

今回の夢の中の箱と、パンドラの箱の根本的な違いは、夢の中の箱は、「黒っぽい工具箱のような長方形の箱」ですので、それは「保存のための箱」と言うよりも、とても実用的なものが入っているはずの箱であり、工具なので、それは元型的な箱の心像(女性性)とは反対に、とても建設的で男性的な内容を含んでいるように思います。

このことは、あなたにとって「あしたに託す大切なもの」とは、とても実用的で男性的な心の働きに属するもの、というニュアンスがあるのかも知れませんね。

夢の中のそんな箱には、災いとも呼べるような、数多くの魚が封入されています。封入という言葉を使っているので、それは、「気安く開けてはならない」という危険性を感じているようです。

また、あなたの魚に対する連想では、

「魚取りや魚釣りはとても嬉しかった記憶がある」

「子供の頃から魚釣りをする夢は繰り返し見ていた」

とお答え頂いております。

一般的に、魚釣りや漁業などの夢は、ご本人の直感機能と関係があり、「水面下(無意識の側面)から、新しいアイデアや心の栄養(魚)を釣り上げたぞ!」という意味合いを持つ場合が多くあります。
これは、作家や芸術家、あるいは、新しいネタを常に探しているような芸人さんなどが、魚釣りの夢をよくみる理由であると言えます。

ですので、幼い頃から魚釣りの夢をよく見ていたのでしたら、あなたは幼い頃から、それだけ直感的な働きが良く機能していて、新しいアイデアや心の栄養をよく釣り上げているような幼少時代を送っていた、と推測することができそうです。

それは魚のイメージが持つ肯定的な側面ですが、今回の夢の中の魚は、否定面も目立ちます。

夢の中で、その箱の中の魚を川に戻すと化物になる、というこの描写は、その魚は、本来あるべき環境に戻り、言葉通り、水を得た魚のように、その機能がフルに生かせる場に戻してしまうと、巨大化してしまい、川の水かさが増し、化物になってしまいます。
このことはおそらく、無意識が持つみずみずしさなどの、生命力の源のようなものが活性化しすぎることの危険性を意味しているように感じられます。

例えば制作意欲に溢れている作家や芸術家は、アイデアや表現したい内容が溢れすぎてしまい、収集が付かないような心境に陥ることがあります。彼らはそのようなとき、まるでなにかに取り付かれてしまったかのように作業場に篭もり、筆を走らせます。
ですがそれは、今までに築き上げてきたその人の、本来の性格が打ち消されてしまっているような状態に置かれているのであり、そのときの彼は、巨大な無意識の生命活動に圧倒されていて、可愛そうな、巨大な無意識活動の被害者でもあると言えます。

そのときの彼は、まるで無表情で人間味に欠けており、その手はまるで、無意識から浮かび上がる内容物を淡々と汲み取っているだけのオートマティックな機器類にさえ見えます。
彼らはさながら、開けてはならない箱を開けてしまったのであり、そのことで、まるで水を得た魚のように無意識が活性化してしまい、水の化物に圧倒されているような心境にある、ということが言えるのかも知れません。

もしも彼に、それを表現する技術がなかったら、ソワソワと落ち着きがなく、このエネルギーをどう処理して良いのか分からないといった心境に陥ることでしょう。
制作活動自体は、とても建設的であり、肯定的ではありますが、そのせいで本来の自分自身の性格を、一時的に見失っている、という意味においては否定的な状況にあると言えるのです。

ですがこの夢では、化物や洪水に襲われて自分を見失い、一時的にでも人格を奪われてしまわないように、旦那様にその箱を託します。
あなたの連想から、夢の中の旦那様はとても頼りがいがあり、機能としての水準の高い男性的な性格の要素(知的な判断力や自立性、決断力、発言力、論理性、忍耐力、合理性、創造性、客観性、意識性など)をあらわしていることが分かります。

それはおそらく、既にご本人の性格に統合済みの一側面であり、彼なら、いまは陸地(意識)にいる魚(アイデアや心の栄養)を、化物にせずに(あるいは化物となってしまっても上手に処理できるので)、本来いるべき川に戻しに向かいます。

一般的に、「立ち入り禁止」の札の向こう側や、治安の悪い地域、戦争中の国などは、ご本人の無意識の中でも、劣等機能の領域をあらわします。

劣等機能と言いましても、問診チェックの結果では、あなたの場合はマイナスの側面が無いのですが、思考が最も優位であり感情が最も低かったので、強いて言えば感情の側面が、夢の中の、「立ち入り禁止」の向こう側ということになります。
あるいはもっと基本的な意味での、人間の心の基本構造としての劣等な側面、というニュアンスが、今回の夢では「立ち入り禁止」として表現されたのかも知れません。
そしてあなた(夢の中の自我)は、心配しながら、あの箱を積んだ旦那様の車を見送る場面で、この夢は終わります。

もしも万が一、その心配の通りになってしまうようなことになれば、まずはあなたの中の、夫のような男性的な性格の側面が危険にさらされ、夫のような性格の一面が圧倒されてしまい、その性格を見失うことになるはずですが、連想では、「夫は達成したいことのためにはあらゆる努力をして実現〜」とのことですので、彼に任せればそんな危険はなさそうですね。

夢の中の魚や川の水は、日頃の意識の乾きやすい側面を埋め合わせるようなみずみずしい生命力を持っており、それは肯定的には寂しさや喪失感、生命力の欠けている意識の一面を補う何かを象徴していると考えられますが、それはあまりにも激しく活性化しすぎてしまい、度を越すと意識は圧倒されてしまい、かえって有害に働きかねません。

最後に、この夢は一言で言うと、「内側にある危険な生命活動を再発見し、自然(無意識)に戻そうと試みている夢」と解釈することが出来ます。

いかが思いますでしょうか?

anemone様

鈴木めいや様
お返事遅くなり申し訳ありません。
夢判断大変ありがとうございます。
パンドラの箱との類似は、なるほどと思いました。
「内側にある危険な生命活動」が具体的に何を指すのか考えていました。
意識上はかなり仕事へのモチベーションが下がっていてそれはそれでまずい、どうしたものかと思案しているところでもありましたので、夢の中ではそんなことになっていたというのはちょっと意外な気もしました。夢の中の夫が上手く処理してくれているということなのでしょう。

鈴木めいや

ご返信を頂きまして、ありがとうございました。

意識上はかなり仕事へのモチベーションが下がっていてそれはそれでまずい、どうしたものかと思案しているところでもありましたので、夢の中ではそんなことになっていたというのはちょっと意外な気もしました。夢の中の夫が上手く処理してくれているということなのでしょう。

私の考えは、それとはほんの少しだけ異なっています。

anemone様は子どもやご家族に対する愛情面、以外にも、もしかすると、昔からなにか夢中になれること、あるいは全身に生命力がみなぎるような、楽しめる何かを望んでいるような部分をお持ちではないかと思えるのですが、「意識上はかなり仕事へのモチベーションが下がっていて」最近の意識活動は、どこか少し渇いており、最近は、少しだけみずみずしい生命力に欠けてしまっているようなところがおありなのではないかと思います。

夢の中の魚は、私生活で欠けていると思われる、そんな意識の側面を補うような要素(無意識を泳ぎ回るみずみずしい生命力)を象徴していると解釈させて頂いているのですが、無意識下のその魚は、あまりにも巨大な生命活動を持っているために、現時点では、それに触れる訳にはいかない、ということなのだろうと思います。

もし、その水の化物に触れてしまい、最近の渇いている意識の側面がそれによって補償され、活発になってしまうようなことがありましたら、いま大切にすべき子育てや仕事よりも、第三の何かに夢中になってしまいかねません。

そして下手をすると、それが楽しくて、そればかりに注意が働いてしまい、本当に大切にすべきものは、「ほったらかし」になってしまう可能性もあるはずです。

そんな危険性を避けるために、夢の中では、ご本人が持っている男性的な性格の要素(夫)によって、その魚を川にかえしてもらったのでしょう。(その結果どうなるのか?というところまでは、この夢は語ってはないのですが、きっと夫なら上手にできるはずです)

そのようにして、夢はより良い状態を保とうと働きかけているのであり、精神のバランスを保とうと試みているのではないかと考えています。

anemone様

1つ目の夢につき、さらにコメント頂きありがとうございます。

「最近の意識活動は、どこか少し渇いており、最近は、少しだけみずみずしい生命力に欠けてしまっているようなところ」

は、確かにおっしゃる通りでして、今の仕事のモチベーションが低下しているのは、自ら選んだ仕事でありながら「これって、本当に自分がやりたいことだったのかな?」という気がしているということもあります。
正直のところもっと人間の根本を問うような探求を仕事に織り込みたいという思いがここ数年、徐々に頭をもたげてきているのですが、これまで継続してきた仕事からそのような発展をさせることは難しそうで、かといってこれまでの仕事を放りだす訳にもゆかず、今のところは漠然とした願望にとどまっています。
夢は「今はその時ではない」という無意識的な判断を語っているようですね。

次の、「教会の夢」、 引き続きお世話になります。

どうかよろしくお願いいたします。

2013/08/07 〜 2013/08/14

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