女性のなかの女性的要素

  
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女性のなかの女性的要素



「女性のなかの女性的要素」が夢に生じるとき…

女性が社会的に大きな立場をしめるようになってから、普段から男性性が優位に働いているタイプの女性は、近代では珍しくなくなってきている印象があります。
このタイプの女性は、外見はフェミニンに見える場合も多いのですが、実は女性的な心の働きが無意識的であまり生かされていないために、その場を円滑にするための気の利いたお世辞が下手だったり、子どもの扱いが下手だったりします。

女性性(あるいは女性的な要素)とは、すべての女性的な心の働きや要素のことで、主に、感情の豊かさ、他人との関係性、恵み深さ、優しさ、柔らかさ、身体性、包容力、受身の姿勢、自然性、無意識性などのことを言います。

女性にとって、この心の働きは、女性が幸せに人生を過ごすためには必要最低限の条件であるとも考えることができます。

女性が恋愛やお見合いなどをして結婚し、子どもを産み、旦那と子どもを愛して円滑に家庭を守っていくためには、このような女性性がいかに充実しているか、そしてそれが自分のものとして、いかに自然なかたちで働いているかにかかっている、という言い方さえ成り立ちます。
ですが、そのような女性的な心の働きは、人類の歴史という観点から見ても、現代の日本という観点からみても、残念ながら、その価値は低く見られやすい傾向にあるようです。

例えば、キリスト教の三位一体のなかには、女性的なものはすべて排除されてしまっていて、それはまるで「女性性=悪」という図式でもあるかのように見えますし、現代の日本でも、
「家庭に収まるだけの人生なんてつまんない。そんなのゴメンだね」
と思っている若い女性は多いのではないでしょうか?
「社会的に成功し、大成している人は立派なことだ」
と思う人はいても、
「幾つもの問題を乗り越えて旦那や子どもを愛し、家庭を守ってきた人は立派な女性だ」
と思う人は少ないものです。
どうやら、人類の一般的な傾向としては、社会的になればなるほど、女性性の価値はどうしても低く見られやすい状況に置かれてしまう傾向にあるようです。
そんな状況のなかで生じる問題は、やはり家庭の問題や、
「そもそも何で産まれてきたのか?」
というような孤独感、あるいは枯渇された愛情の問題ではないかと考えています。

そのように、男性性ばかり優位に働いてしまい、男性原理を持ち、肝心の女性的な心の側面は生かされないまま、無意識の影に置き去りにしてしまっているような場合は、夢はハッキリと、そのような状況を指摘してくることがあります。

例えば、この女性は、とても賢く知的なレベルで物事を見るタイプであり、ご本人も認めているように、自分は社会的で男性性が優位なタイプの方と判断できますが、既婚者なので、家庭生活を円滑なものとするには女性的な心の側面を働かせることも必要な状況にあります。

夢判断18「メアリーの執刀医」

この夢からは、
「生かされていない女性原理(女性性)の再生・回復」
というテーマを垣間見ることができます。
このような、「女性のなかの生かされていない女性性の問題」は、この方だけに言えることではなく、現代人にはごくありふれた一般的な問題ではないかと感じています。

また、イギリスの昔話、「ガウェイン卿と忌まわしい婦人」というお話は、心理学的には、「拒絶されたために醜くなってしまった女性性の回復」と解釈することができます。
この物語は、醜い魔女として表現されている女性性は、他者から認められ、自分の人生を自分で決めることで、美しい女性へと回復します。
女性性とは、簡単に言ってしまえば、いわゆる個人や家庭、社会を支え、それに豊饒を与えているような、すべての仕組みの「土台」のようなものであると思われます。
ですがそれは、目に見えない心の領域のものであり、目に見えないが故に、軽視もされ、無視もされやすいものです。
そして、そのような大切な女性性という土台そのものが、現代人には欠けているのではないだろうか、という印象を、わたしは持っています。

この問題は、おそらく劣等な感情機能とも関係していて、現代に特有と言われているような社会的な問題(例えば毎年増加している自殺者や少年犯罪や、少子化など)とも大きく関係しているはずです。
もし、昨夜に見た夢の中に、劣った女性的要素が出てきた場合、そのような自分の心の情況を客観的に見る良いチャンスにもなり得ます。
2010/12/17

女性のなかの「男性的な要素」が夢に生じるとき
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