女性のなかの男性的要素

  
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女性のなかの男性的要素



「女性のなかの男性的な要素」が夢に生じるとき…

現代では、女性が社会に出て仕事を持つことはまったく珍しいことではなくなり、当たり前のようにさえなっています。
ですがそれは、人類の歴史という観点から見ると、ごく最近の出来事ですので、歴史的な観点から全体的に見たときに、男性と比較すると女性はまだそれほほど社会に馴染むことに小慣れていないと言えるのかも知れません。
そこで、女性が学校を卒業して仕事を持った場合、個人によっては心理的に多少問題が生じる場合があります。
つまり、自分自身のなかの男性的な要素・男性性を、どのようにして自分のものとし、現実の仕事を、無理なく自分のものとしていくか? という基本的な問題です。
基本的に、社会的な精神生活は男性的な心の働きを必要とする場合が多いからです。
(ただし、接客や営業、あるいはデザイナーなど、直感的な細かい気遣いやなにかを表現するような仕事は、女性的な心の働きを必要とする場合もあります。)

男性性(あるいは、男性的な心の要素)とは、簡単にいうと、すべての男性的な心の要素や働きのことであり、それは主に、知的な判断力や自立性、決断力、発言力、論理性、忍耐力、合理性、創造性、客観性、意識性などのことです。

そしてそのような無意識下の側面が元型的(本能的)なエネルギーを持ち、アニムス(女性が持つ元型的な男性要素)が外側に投影されたとき、それは純粋な恋愛感情が生まれる場合もあれば、嵐やらヨン様などの男性アイドルの追っかけとなる場合もあります。
ですが、女性が仕事を持った場合、居酒屋やコンビ二でアルバイトをするにしても、彼女は男性のようにテキパキと効率よく手を動かして判断をして、作業をそつなく進めていかなければなりません。
つまり、女性が仕事を持つということは、自分の中の男性的な心の側面を外側に投げかていれば良いということではなくなり、どうしてもそれを自分自身のものとして機能させざるを得なくなる場合が生じてきます。
ですが、男性的な心の要素があまりにも無意識的で未分化な女性もいます。
そのような方の場合、男性社会で働いていくことはとても大変なことであり、もし仕事を長く続けるのであれば、自分の中の未分化な男性的な要素を分化・発達させていく必要が出てきます。
女性の社会進出に当たり、このような未分化な男性性の問題は、現代ではありふれているような印象があります。
事実、このようなアニムスの心像(女性が持つ元型的な男性的要素の心像)の夢は、このホームページにも数多く投稿されています。 その中でも、
例えばこちらの方は、連続してアニムス像の夢を見ています。

bbs154:彼の髪(彼が地面に突っ込む)
bbs243:電車で痴漢される(見知らぬ男性から痴漢をうける)
bbs249:キスができない(彼とキスしようとするが出来ない)
bbs267:彼の悲しい表情(ホテルには行かずに彼の奥さんの話しをする)
bbs345:ブドウ畑(四角いテーブルに、父と彼とその奥さんと、灰色の赤ちゃんがいる)

この方が投稿した5つの夢は、すべて、「未分化な男性的要素を、自分自身の一機能として、うまく統合することが出来ずにいる」という同じようなテーマを持っています。
このことから、夢は関連のある何らかの文脈の中で産出されていることが分かります。
おそらくこの事実は、「夢は支離滅裂なものであり何の意味もない」と思い込んでいる人にとっては、とても不思議に感じられることでしょう。
この方は、夢によって表現されているように、男性性を統合して、それをいつでも自由にコントロール可能なレベルにまで、男性性を自分のものとすることができずにいるような状況にあると考えることが出来ますが、これは決して、この方だけの問題ではないと思っています。

特に若い女性の心に生じやすい、ごく一般的でありふれた心の問題であり、重大なテーマの一つであると言えそうです。
2010/12/17

■ 女性のなかの「男性的な要素」が夢に生じるとき
女性のなかの「女性的な要素」が夢に生じるとき
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