夢判断31「実家に奥様から電話」p3

  
夢と解釈のサイトlogo

HOMEお客さまの夢 │ 夢判断31のp3


実家に奥様から電話



3ページ目

えり 様
既婚 欧州在住

タイトル/「実家に奥様から電話」

影の心像とは、ご本人が今まで育ててこずに、無意識下で影となっているような、未知なる何らかの性格の側面のことであり、幼い頃から、ほとんど発達させてこないまま、無意識的となっている性格の要素のことです。

奥様に対する連想では、少し尊敬できる一面もあるようですが、それは嫌な面の連想と関係しており、基本的には否定的なニュアンスが強いので、奥様で象徴している影の性格は、普段のあなたらしい意識の状態(実家での状況)に、否定的な作用をもたらします。
夢の中の奥様は、ご本人の劣等な直感機能を通じて、ダイレクトに意識に作用する影の性格の側面であり、実在している奥様とは間接的な関係しかありません。

影の心像とは、基本的に、いままで意識の陽の目を浴びてこなかったような、劣った性質を持っていますので、夢のなかで、奥様の声が暗いオドオドした声であったり、沈黙があったりしたのは、それだけ、その影がまだまだ自信を持ってハッキリと意見を言えるほど発達した性格を持っていないことを示しているのかも知れません。
ですがそれは、不倫をばらし、家族をバラバラ(基本的な心の基盤を崩壊)させる恐ろしい力を持っています。

そのとき、心底申し訳ないと謝り、沈黙に耐え、ビクビクしていると、そこに妹がやってきます。
妹さんに対する連想では、細かい部分に色々あったとしても基本的には自立している可愛い妹です。
この妹という心像は、そのとき陥っていた大きな否定的な状況と相対的な関係を持っており、とても肯定的な心の側面を象徴しています。

例えば、グリム童話などの世界中の昔話を調べると、昔話の主人公がピンチに陥ったときには、決まって崇高なイメージの人物が登場し、主人公のそのピンチを切り開くような、大きなヒントを授けてくれるような場面があらわれるものです。
夢の中の妹は、そんな崇高な人物のイメージ(心理学で言うセルフの元型的な心像)に近いものだと思われます。

少なくとも、妹はそこにいるみんなに、不倫のことをバラそうとする態度を持たずに理解を示すので、そんな妹によって家族の崩壊(基本的な心の基盤の崩壊)は回避されるのです。

最後に、奥様が電話の向こうで息子さんの名前を叫ぶのですが、これはまるで、「そこにいる不倫相手は子供も養っていくべき大切な人なんだぞ」とでも言いたげで、何とかして否定的に作用しようと釘をさしているかのように見えますね。

そしてこの夢のラストの場面は、奥様からの電話を、不倫相手の男性に渡そうとするところで終わっています。受話器を渡そうとして、渡していません。
もしもここで、受話器を渡し奥様と夫婦間で話し合い、何かしらの弁明をすれば、問題は一気に解決していたのかも知れませんし、あるいは反対に、みんなに不倫がばれてしまい一気に崩壊の道に進んでいたのかも知れません。

ですが今回の夢では、問題は最後まで進まずに途中で終わっているように見えます。
このラストは、もしかすると、現実での心境(煩わしい問題が身の周りで次から次へと起こり、それをうまく自分の中で処理できません。そういうわけで、養子の事もあり、私は、目標のよく定まらぬ生活です。〜疎かにすればどんどん心苦しく、特に親戚、友人に連絡をするのは勇気が要り、今は何もできません。)と、何かしらの関係がありそうですね。

今回送って頂いた「奥様から実家に電話」の夢を一言で解釈すると、私生活での今後の進展のために、影の側面が作用し、心の基盤を組み立てなおそうとの試みが生じたことをあらわした夢であると考えることができます。

いかが思われますでしょうか?

えり様

鈴木めいや様
解釈、大変ありがとうございます。
早速ですが、質問させてください。

質問1
「心の基盤」とは、本来の自分そのもの、というようなものでしょうか?

鈴木めいや

A)
はい。夢の中の実家(生家)を、本来の自分そのもの、という言い方をしても大きな間違えにはならないと思います。
わたし達は誰でも、自分の個性を前提にして周囲の人々を見ているので、自分とはまったく違った個性と出会うと、「変わった人」とか「ユニークな人」という印象を持ちやすいものです。
ですが、世界的に見たときに、「普通の個性をした人」だとか、「普通の性格の人」などという基準は存在していません。
それは例えば、イタリア人は楽観的な人が多いとか、ドイツ人は真面目な人が多いというように、国や地域を見たときに初めて「性格の標準」らしきものが、うっすらと見えてくるに過ぎません。
もしも、「自分は普通の性格をしている」と言い張っている人がいたとしても、その人は他人から見れば変わった個性の持ち主に見えるのかも知れません。
そのように、世の中には標準的な性格や個性など存在していないのだとしたら、本来の自分の性格や個性とは、どこからやってくるのでしょうか?
それはやはり、生まれ育った自分の家と関係してくるのであって、幼い頃から、どのような生活を送ってきたかに関わり、(もちろん先天的な傾向もありますが)それが心の基盤、あるいは本来の自分そのものと言えそうです。

えり様

質問2
なぜ思い出したくないような、人生の汚点のような不倫相手が、私の主機能や、私自身を象徴するような実家にいるのでしょうか? 大事なのは「奥様(影の側面)からの電話」で、この男性は電話の理由付けでしかない、という事でしょうか。
この男性が、例え夢であっても家にいると想像するだけで脅えてしまうので、不思議です。夢の中では、なぜか普通に接していましたけども。

鈴木めいや

A)
奥様で象徴している影の側面と、不倫相手で象徴している劣等な男性的要素は、この2つはおそらくワンセットなのです。
この夢の中では別物として表現されていますが、その2つは強く結びついていて、常に関係しあっていて、そのどちらか一つが無かったら、もう一つも無かったはずです。

もしも、夢の中の不倫相手の男性が、ご本人の劣等な男性的な性格の要素をあらわしているという説が正しいのであれば、えり様は現実の生活において、幼稚な男性のような行動や言動をしてしまったときは、容赦なく影の側面はあなた(意識)に攻撃を仕掛け、もっと後ろめたい気持ちに陥ってしまうのかも知れません。

この夢は、実家という本来の自分らしい意識の状況のときに、劣った男性的要素(不倫相手)を持ち込んでしまうことに対して、警告を発していると解釈することもできます。

例えば、現代では女性の社会進出が進み、女性が社会に出て仕事を持つと、自分の中の男性的な性格の要素を鍛える必要が出てくるケースが多くあります。
えり様が送っている私生活では、どのようなときに男性的な性格の要素が活性化されるのかは分かりませんが、そのときに、多くの男性的要素のなかでも、「不倫相手で象徴しているような劣った男性的な要素を働かせると大変なことになるよ」、とこの夢は語っているのだと思います。

ですが、ご本人も知らず知らずのうちに、どうしても劣等な男性的要素(不倫相手)を意識の中の持ち込んでしまっていることがあるようで、そのことの危険性について、この夢は語っているのだと思います。
ちなみに、ユング博士の弟子であるフォンフランツ博士によると、否定的な男性性とは、向こう見ずな行動や、批判的な刺々しい態度、思いやりがないような乱暴な意見などとしてあらわれると言います。

えり様

質問3

そして、今回の問診チェックでは、あなたは直感的な心の働きがもっとも劣等な側面でしたので、そんな電話で象徴している直感的な心の働きに、ひどく脅かされることとなってしまったようです。

すいません、よく分かりませんでした。
私の劣等機能が直感だから、無意識は、そこを狙って、脅かそうとした。なぜなら、ここなら弱いから脅かせるから。という事ですか?

鈴木めいや

A)
「そこを狙って、脅かそうとした」という言い方をしますと、どこか人間的な印象となります。
ですが基本的に、無意識には人口的な要素はなく、無意識が持つ性質や機能というものは、基本的には自然界がもつ働きと同じであり、それはどこか本能的で太古的な傾向があります。つまり、無意識から生じる夢もまた、自然発生的な現象です。
今回の問診チェックが正しいと仮定すると、えり様の場合、心の深い、より無意識的な側面から何かを伝えようとすればするほど、それが無意識的な要素となればなるほど、それは無意識に一番近い働きである直感機能を介しやすくなります。
夢がとる表現方法にとっては、それが一番自然だからです。
今回は否定的な要素が電話(直感)を通して伝えられましたが、それは肯定的な要素の場合も同じです。
夢について考えるということは、無意識について考えることであり、それはりえ様の場合、直感的な働きについて考えることになります。
ですが、問診チェックの結果だけを見ますと、えり様の意識活動には極端な偏りが無く、バランスが良いと思いますので、劣等機能と言いましても、極端に無意識的となっている、ということではなさそうですが、強いて言えば、それは直感的な働きということになります。

えり様

質問4

最後に、奥様が電話の向こうで息子さんの名前を叫ぶのですが、これはまるで、「そこにいる不倫相手は子供も養っていくべき大切な人なんだぞ」とでも言いたげで、何とかして否定的に作用しようと釘をさしているかのように見えますね。

私の心の基盤と、影の側面の格闘みたいなものでしょうか?

鈴木めいや

A) そうですね。今回の夢では〜

続きを見る⇒ 1ページ目2ページ目│3ページ目│4ページ目