夢分析のやり方を紹介

  
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夢分析のやり方を紹介



夢をより心理学的に判断する為には、重要なステップがあります。
このページでは、夢分析のやり方に必要な「7つのステップ」をご紹介します。

夢分析のやり方の図



ステップ<1>
覚えているところだけを正確に書き留める

覚えていないところを無理に思い出そうとはせず、はっきりと覚えているところだけを正確に書きとめます。
夢の中に出てきた物事の印象、人が着ていた洋服や色合い、右にはなにがあり、左ではなにが起こっていたのか?できるだけ具体的に細く記します。
また、「確か、なにかしていて思い出せそうだけど…」という部分は、「なにかしたけど忘れた」とそのまま記し、あやふやなところはバッサリと切り捨てることも大切です。

ステップ<2>
夢に登場したあらゆる心像を思い浮かべたときの連想を広げる

ユング博士の弟子であるM.L.フォンフランツは、このように述べています。
「自分自身の夢を解釈したいなら、紙の半分に夢を書き、もう半分に夢に出てきたすべての言葉に対する連想を書き込むのが最善です。(夢の道p33)」

連想とは、ユング心理学の夢分析に特徴的な技法で、ひとつのイメージをどんどん膨らませていく作業のことです。
例えば、夢に、「田舎」が出てきた場合、その夢を見た人に「田舎とはどんな意味があるのでしょうか?」と連想を聞くと、ある人は、≪自然≫と答え、さらに田舎についての連想を広げていくと、≪安らぎ≫≪祖母≫≪団欒≫≪昆虫採集≫となるかもしれません。
連想を広げれば、その人にとって"田舎"とは、どのような心的組織に留められているのかが分かります。
つまり、連想とはその人の心の背景を聞くことであり、夢の文脈を汲み取るための大切な手続きです。
このように重要な夢のシンボルを広げていくことによって、その人の個人的な心の背景が見えてくる場合が多くあります。
その人特有の、個人的なイメージをどんどんと掘り下げていき、意味を捉えていきます。
連想傾向の例

ステップ<3>
普遍的な心像は、シンボル事典を参考にする

次に、書店に売っている本にはシンボル辞典のようなものがあるのですが、そのなかでも、神話や昔話などのシンボルも記載されているものがあります。
・「元型と象徴の事典 べヴァリー・ムーン編 アーキタイプ・シンボル研究文庫」
・「世界シンボル事典 ハンス・ビーダーマン著 八坂書房」
などがお勧めです。
これらを参考に夢を解いていきますが、○○は○○を意味していて、△△は△△のシンボルですというように、一つ一つの象徴をはっきりと当てはめていけば解釈が成り立つかというと、実際はそういうものではありません。
というのは、一つ一つの物事というのは人それぞれであって、個人によってその意味合いが違う場合がほとんどだからです。
例えば、夢に、「犬」が出てきた場合、犬が嫌いな人にとっては不潔で野蛮な心のエネルギーをあらわしているのかもしれませんが、犬が好きな人にとっては、愛情や忠実な心などをあらわしているのかもしれません。
犬が好きな人と嫌いな人では、明らかに解釈が変わってくるので、あらかじめ決まっているシンボルをそのまま夢に当てはめて考えることは出来ない場合が多いのです。
そのことから、ユング博士は、生涯シンボル辞典のようなものを作ることはありませんでした。
ですが、普遍的な心像の場合は、その意味合いは誰でもほぼ同じであると考えられます。
例えば、魔女や太陽などは普遍的なイメージである場合が多いので、連想を広げようとしても何も浮かばないのが普通です。
その場合は、シンボル事典は有効となる場合が多くあります。
⇒ シンボル事典はこちら

ステップ<4>
元型的な心像は、拡充する

これは、ステップ3の続きとも言えますが、夢の文脈が何らかの昔話と似ていたり、激しい情動性を伴う夢は、元型的な夢である可能性が高くなります。
その場合、やはりそれは心の深い側面から生じてきていると思われ、誰にでも共通の普遍的なイメージを伴っていると考えられます。
そのような元型的な夢を見た場合は、世界中にある昔話や神話の、心理学的な分析を参考にして、イメージを拡充する作業を行うと、夢の意味がよく見えてくる場合が多くあります。

元型とは、人間に備わっている基本的な能力で、行動や感情、イメージなどのパターンを作り出す能力のことです。
元型は全人類共通の無意識、集合的な無意識からくる「イメージの源」のようなもので、元型は無数にあると考えられています。

世界中の神話や昔話に出てくる「シャドウ」や「グレードマザー」、「アニマアニムス」、「ペルソナ」や「セルフ」の心像を参考にして夢を考えてみます。

ステップ<5>
無意識による補償作用を考える

ユング博士による分析心理学では、基本的に全ての夢は、わたし達の心のなかの何らかの側面を補い、心全体のバランスを整えようとする働きがあると考えられています。
無意識と意識は根本的に補償作用の関係にあります。
このことからこのサイト(夢と解釈のサイト)では、あらかじめ「心の図」の作成をお勧めしております。
この図を作成しておくと、無意識は夢を通して心のどの側面を補おうとしているのかが見えてくる場合が多くあります。

医療系心理学による心の図
⇒ 「心の図」の作成はこちら
ふきだしマンガ
ステップ<6>
現実生活での心の動きと一緒に考える

ユング博士の夢の定義は、「無意識内の現実状況を、象徴形式(あるいは比喩によって)自発的に自己描写したもの」としています。
夢は、その人がその夢を見たときの心理的な働きを表したものですので、夢を解釈するときは、その夢を見た時期のご自分の心の動きと一緒に考えなければなりません。
例えば、腕をケガした夢を見たのなら、腕は意志をあらわし、ケガは心の痛みをあらわす場合が多いので、現実に、自分の意志でなにかをしようとして思うようにいかず、傷ついたことはなかったのかと冷静に考えてみます。
現実のその心の痛みをはっきりと自覚していれば、夢はその心の動きをあまり表現しようとはしないものですが、その心の痛みに無頓着であればあるほど(無自覚でいればいるほど)、夢は、「今の自分はこのような精神的な状況にいるようなものだ!」とでも言いたげに、ハッキリと示すものです。
夢を解釈するということは、その夢を見た時期の心の動きを考えることでもあります。

ステップ<7>
過去に見た夢との関連性を考える

夢は、よく観察してみると、以前に見た夢の続きであるように感じることがあります。
わたし達の心は、昨日、今日、明日と連続しているので、無意識の心的描写をしている夢もまた、以前の夢と関係がある場合が多いのです。

■ 最後に…

夢は、無意識という自然が生み出した自然現象のひとつです。
なので、自然が風を吹かせることに、また、鮭が川を上ることに、渡り鳥が海を渡ることに、その理由を完全に解明しつくしたということはありません。
夢もまた、完全にその意味を知り尽くしたということはあり得ません。
ですが、最終的にそれなりの結論を出すことは出来ます。
最後に、その夢を一言でまとめると、どんな心的描写をあらわしているのかと考えるのですが、それはあくまでも"その時の"最終的な結論です。数年後、精神的に成長したときに昔の夢を見てみると、もっと違う視点からの解釈も出来るかもしれません。

以上、7のステップが、夢を解釈するための大切なコツと考えています。
どうか、気になる夢を見た場合は、お気軽にお問合せ下さいませ…