心理学事典「シャドウ影」

  
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心理学事典「シャドウ影」


シャドウの心像とは、幼い頃から未発達の状態で無意識の影に身を潜めている何らかの性格の側面のことであり、それは本人も気が付いていない自分とは異なる性格の諸要素のこと。

夢のなかに、同姓の人物や同姓の外国人、人の影やピエロ、悪魔などが登場した場合、影の元型がモチーフ(その心像を生み出した動機)となっていると考えられます。
また、影の元型があらわされているグリム童話に「二人の旅職人」や「誠実なフェレナントと不誠実なフェレナント」、「二人兄弟」などがあります。

河合隼雄先生も言っているように、影の側面は個人的な影と普遍的な影に分けられます。
普遍的な影は、"悪"のイメージに近いもので、国や時代に関係なく、太古の大昔から世界中の人々に共通して同じようなイメージを含んでいます。

ですが、個人的な影は、その人の個人的なタイプによって性格が大きく変わってきます。
例えば、感情が豊かで社交性のある意識の側面が発達している人には、1人で物事を深く考えるような意識の働きは未発達のまま、無意識下に影を潜めることになりますし、幼い頃からスポーツばかりしてきた人にとっては、学業を重んじるような生き方は、意識という光のあたらない影の人格となります。

わたし達はだれでも、心が成長するにつれて、発達させていく意識の側面と、未発達のまま無意識下に影を潜める側面を持っています。
そして、「身の回りにいる友達や知人が持っている考え方や性格よりも、自分の考えのほうが正しい」と思いやすい面を持っているものです。

影(シャドウ)の夢とは、そのように、いままでの人生において、"受けいれずに切り捨ててきた人格の側面"がモチーフ(動機)となっている心像があらわれている夢のことです。
それは、「そんな考え方や性格の側面は自分ではない!」として、切り捨ててきた何らかの要素のことであり、あるいは、「生かしきれていない心の側面」であるとも言えます。

また、心の深い層の普遍的な影が、意識の近くに布置されているコンプレックス(複雑な感情や観念の複合体)と結びつき、その情動性があまりにも強すぎる影が夢のなかにあらわれた場合、それは、やはり悪に近いイメージである、悪魔や犯罪者などの像となって現れやすく、それは基本的に、強烈な恐れや不愉快な印象を与える否定的な心像となりがちです。
その他には、発展途上国の同姓の外人や同姓のホームレス、身体障害者やあるいはピエロなどの像などとなります。

また、情動性がそれほど強くなく、個人的な要素が強い場合は、身近な同姓の知人や友人、同姓の見知らぬ人などの姿となって夢にあらわされます。
この影の側面を受け入れることは意識の拡大につながり、それを統合するというテーマはわたし達の 心の成長には大切な要素と言えます。



睡眠時の「夢」のメカニズム